打倒平家を協議した公家や法皇の鹿ケ谷の陰謀の露見と顛末、高倉天皇と清盛の娘徳子の子でのちに壇ノ浦の戦いで海に命をすてる悲劇の天皇安徳天皇の生誕、奥州の藤原秀衡の庇護からとびでて紀伊の国熊野に潜伏する義経、そして清盛の嫡子であり人望もあった重盛の死去。
歴史の本を読むたびに、時の権力者の血が令和となった現在も連綿と受け継がれている皇室に、深い感銘を受けます。
この巻で印象的なのは、重盛の死去です。
豪放磊落また豪華な屋敷に住み贅をつくした清盛と冷静沈着で堅実な重盛は真逆の人物です。
重盛は反平家側の公家や法皇や叡山の山門たちからも慕われていました。
ちなみに平治の乱ののち頼朝の命を懇願したのも重盛のようです。
清盛はかたぶつな長男をうとましく思い、頭が切れて要領のいい義弟の時忠をかわいがりました。
しかし、しだいにお互いに一目置くようになります。
そして42歳の若さで、親である清盛よりも早くにこの世を去り、輝くばかりだった平家の栄華に暗雲がたちこめます。
重盛が生きていれば、こんなに早くに平家の時代は終わらなかったという人もいるぐらいの人物だったんですよね。。。
重盛のもっていたもの。それを、子に学んで、おれも持たねばならぬ
重盛亡き後の清盛のつぶやきは心にぐさりときます。
平清盛は福原(今の兵庫県)に港をつくって日宋貿易を始めたり、生まれる時期を間違えたな、と思います。
近代に政治家や実業家として生まれたら、さぞすばらしい功績を残したでしょう。
しかし不穏な平安時代末期では、早すぎました。
藤原家の真似事、お金儲けにほうけて、足元をすくわれるのです。。。。
次の巻から徐々に平家の凋落が始まっていくでしょう。
色々な国の色々な時代の歴史小説を読むたびに栄華を極めた権力者の、やがてしのびよる凋落に冷え冷えしますが、やはり時代が大きく動く転換期の時代に、私は強く心をひかれるのです。